小説
知ってる、でも好き2
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「美緒、俺の事フって。」


突然告げられた言葉。
一瞬理解出来なくて、頭が固まる。


「え…?」


数秒遅れで返した言葉に、
廉は表情一つ変えない。

どうしよう。
何かしたのかな。

思考を巡らせても、思い当たる節はない。

悲しくて、ふと涙が零れ落ちる。
泣いたらダメだ。
分かってるくせに、
涙は次から次へと溢れる。

廉を見ると、辛そうな表情をしていた。

困らせちゃダメ。
困らせたくない。

これ以上、廉を縛り付けたくない。


「ごめっ、れん。ったし…ごめん、ね。
今までありがと。バイっバイ。」


私が精一杯絞り出した言葉に、
廉は何も言わず去っていった。
途端に力が抜けて、ペタンと座り込む。

終わった。終わってしまった。
始まるまであんなに悩んで、
あんなに苦しんで…。
それが、たった5分で終わってしまった。

つくづく思う。恋愛って難しい。

やけに冷静な頭で考えながらも、
涙が止まる事はない。

何も考えたくなくて、
ただ座り込んで涙を流す。

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