小説
知ってる、でも好き2
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ふいに足音が聞こえてきた。
私はもうどうでもよくなって、
そのまま泣き続ける。

ドアが開く音。
こっちに向かって歩いて来る。
そして、がばりと抱きしめられた。


「はぅっ!」


混乱する頭。
でもすぐに、廉の匂いがして安心した。


「…………。」

「廉?」

「…………。」

「どしたの?」

「…………。」


言葉を発しない廉に、戸惑ってしまう。

後ろから抱きしめたまま
離してくれないので、身動きがとれない。
それでもなんとか、肩に乗ってる頭に
手を伸ばす。

そして、ふわり。
柔らかな髪に触れた。
びくっとした廉に構わず撫で続けると、
ぽつりぽつり。話し始めた。


「ごめん、美緒。俺、やっぱり無理だった。
美緒から離れるなんて、無理だった。」

「うん。」

「美緒の事、好きだから。だから、
無理させたくなかったんだ。でも、
無理だった。ごめん、ごめんな。」

「廉。」


びくっ。廉の体が震える。

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